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【2017.7月号】新県知事に望むこと、それは県民との対話です

「命を守る、福祉の充実、人材の育成、暮らしを豊かに、持続可能な社会づくり」の5点をメインの公約に訴えた川勝平太氏が、県知事に三選された。心からお祝いをするとともに、公約の実現を大いに期待したい。
 選挙期間中、浜岡原発の問題では言葉を濁していた川勝新知事が、当選後の記者会見では、「(福島原発事故後)中電は安全に軸足を移し、動かさないと決めた。私がいる間にその原則を破ったら烈火のごとく怒る」と語り、任期中は再稼働を認めない姿勢を示したと報道されている。これからも再稼動に引きずられないと言う新知事の見識を信じたい。
 県内ではあまり注目されていないようだが、沖縄の基地負担を軽減するために本土に米軍基地を引き取らせようという運動に取り組んでいる「辺野古を止める!全国基地引き取り緊急連絡会」が全国の知事に聞いたアンケート結果が最近公表された。
 それによると、1952年の旧日米安保条約と同時に結ばれ、米軍優先の法的地位を定めている日米地位協定について、抜本改定や見直しが必要と回答した10知事の一人が川勝知事である。また「沖縄の米軍基地は縮小されるべきだ」と回答した4知事の一人にも川勝知事が含まれている。大半の知事が無回答や「その他」の回答を選択している中で、明確な意思表示をした川勝知事には敬意を表したい。
 しかし、県都静岡市では対立候補の溝口氏が得票で川勝氏を上回った事実は重い。自民党、公明党が溝口氏を支持したようだが、静岡市長との対立を解決しようとしないことへの批判票だと受け止められている。川勝県政で今後必要なのは県民と対話の姿勢ではないか。
 新知事は次世代産業の展開として「医療健康産業」を第一に掲げた。それに異論はないが、県・市町合わせて社会福祉費全国46位、老人福祉費44位、児童福祉費47位、民生費47位はどういう訳なのか。
 メイン公約の県民の命と健康を守ることや、福祉の充実のためには「公助」が欠かせない。「自助」できるはずの企業にお金をつぎ込む前に、医療や介護、子どもの保育や教育に力を入れてもらいたい。
 さらに県民との対話の窓口も大いに広げてもらいたい。いろいろな県内の非営利団体の意見を聞いてもらいたい。それでこそ新知事が「ふじのくに」の真のリーダーになる道ではないかと思う。