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【2023.11月号】まだまだ低い男女格差  ジェンダーギャップ指数から考える女性が働きやすい環境

ジェンダーギャプ指数
 世界経済フォーラム(WEF)は、6月21日男女格差の現状を各国のデータをもとに評価した「世界男女格差報告書」の2023年版を発表した。
 日本のジェンダーギャプ指数(総合)は、146カ国中125位で前年の116位から9位もランクダウンした。125位というランキングは2006年の指数公表開始以降最低である。
 指数は各国の男女格差を、「経済」、「教育」、「健康」、「政治」、の4分野で評価している。

指数総合1位は?
 指数総合1位は、14年連続のアイスランド、2位以降はノルウェー、フィンランド、ニュージーランド、スウェーデン、と続き上位5カ国の内4カ国が北欧諸国で占められている。北欧諸国は所謂「消費税」の税率が高いが、社会保障や教育も充実しており、また選挙の投票率も高く女性の首相も多く輩出している。
 また指数総合最下位はタリバン政権下のアフガニスタンである。

日本で深刻な「政治」分野の女性進出
 日本でとりわけ深刻なのが「政治」分野で、138位である。衆議院の女性議員は1割程度に過ぎず、過去にも女性首相が一度も誕生しなかったことが大きく足を引っ張っている。
 静岡県でも、2月現在の県内各市町議会に占める女性議員の割合は16%、4月現在の県議会に占める女性議員の割合も16%に過ぎない。ちなみに、前述した北欧諸国では現在、アイスランド、デンマーク、スウェーデンが女性首相で、フィンランドとノルウェーの前首相は女性であった。

「経済」分野も深刻
 「経済」分野も深刻で123位、細かく見ていくと
「同一労働における男女の賃金格差」は75位、「勤労所得の男女比」は100位、「管理的職業従事者の男女比」は133位、という状況である。

医療の現場では
 女性医師・歯科医師は数の上では増加しているが、まだまだ女性が働きやすい職場環境が整っているとは言いがたい。OECD 加盟国における女性医師の割合は平均49%であるが、日本は22%である(OECD Health Statistics 2021)、また日本における女性医師の就業率は29歳以下で35.9%を占めているものが30~39歳では31.2%、40~49歳では26.3%と低下してる(2018年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況) これは日本では育児や子育ては女性が行うものという女性の社会的役割が根強く残っているためと思われる。また医学部での女性受験者差別問題でも明らかなように「構造的問題」も根強く残っている。さらに全国的に散見されるセクハラやパワハラも一向に無くならない。スタッフも含めて女性が安心して働ける職場環境の整備も強く求められる。