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【2024.2月号】保団連新体制に期待する

保団連第51回定期大会

 2024年1月27日・28日両日に標記の大会が開催された。2年に1回行われる大会の主な目的は新役員体制の選任であるが、国民皆保険制度の象徴でもある健康保険証の廃止がこの秋に迫る今までにない医療にとって危機的な情勢下での大会となった。大会の討論でも、健康保険証廃止やマイナ保険証等、医療機関や患者・国民にも明確なメリットも無い政府が性急に強引に推し進めている「医療DX」に対する発言や、異常な物価高騰が継続している医院経営が困難を極める中で経営原資である診療報酬引き上げと患者負担軽減の発言も多く出された。健康保険証廃止を阻止する運動の中心である保団連に今まで以上に期待がもたれている。

保団連新会長選出

 第51回定期大会での役員選出で象徴的なことは、自らの診療所を東京常駐のため閉院して会長職につき20年の長きに渡って会長職を続けた住江憲勇氏が勇退され、新会長に竹田智雄氏が就任したことである。竹田氏は岐阜県保険医協会の会長であり保団連の副会長を歴任した医師である。竹田氏はマイナ保険証をめぐる衆議院
厚生労働委員会の参考人として問題点を理路整然と示し採決延期に持ち込んだ立役者であり、各種の署名活動でも常に最大数の署名集約数を達成するなど保団連運動を常にリードしてきた実積を兼ね備えている医師である。そして竹田氏は東京常駐をしない(閉院しない)現役の開業医師であることにも注目したい。

保団連理事に女性が9人

 役員体制で特徴的なことは女性理事が51人中9名と前回と人数的には同数であるが女性理事の占める割合が維持されていることである。かつて女性理事2名でしかも歯科の女性理事は皆無という数年前の状況と比べるとジェンダーバランスは格段に改善された。理事会でも更に女性理事の増員は共通の同意事項である。まだまだ男性優位社会である医療界において、保団連理事で女性が増えきことは医学部の女性受験者や医局での女性差別問題等の改善に向けて期待がもたれる。

保団連理事最年少は40歳

 女性理事が一定数確保されていること以外にも若手の人材が起用されている点にも注目したい。今回最年少理事は岐阜協会推薦の40歳の医科理事である。保団連理事の多くは出身協会・医会でも幹部役員を兼任していることがほとんどである。当然、自らの病院・診療所でも医院長や責任ある立場でもあり、診療のみならず経営にも携わっている非常に多忙な生活を強いられている。若ければ特に診療に従事する時間も長い傾向にあり、また家庭でも子どもが小さいなど保団連・協会会務に割ける時間も限られる。そのため保団連理事は平均年齢が60代半ばと高齢化が進んでいる。若手を起用したくても前述した理由で困難であった。役員体制は経験豊かなベテラン役員と現代的な感覚を持った若手役員と一定数の女性役員というミックス体制がバランス的にも理想と思われる。歯科でも50歳の神奈川協会推薦の理事が就任した。まだまだ若手役員は不十分であるが、若手起用が実現したことも評価したい。

保団連が身近に感じられるように

 保険医協会一般会員にとっては保団連の存在は、「月刊保団連」と「全国保険医新聞」を通じてのことが殆どで遠い存在と感じられるかも知れないが、保険医協会の全国組織として皆様の身近な存在である。是非、保団連に対する要望や意見も協会や静岡協会選出の理事を通じて寄せて頂きたい。