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【パブコメ】静岡県国民健康保険運営方針(案)に対する意見

静岡県保険医協会は2017年9月、静岡県国民健康保険運営方針(案)に対する意見を提出しました。
以下は、提出した内容です。

【総括的意見】
○国民健康保険制度は社会保障であることを改めて確認し、加入するすべての人が保険料やお金の心配なく医療が受けられる制度にしてください。

【総括的意見】
○保険料の引上げにならないよう、国庫負担割合をもとに戻すよう国に要請してください。1980年代には50%でしたが、現在では25%まで引き下がっています。

【総括的意見】
○自治体間の競争を駆り立てるようなインセンティブ制度(保険者努力支援制度)に反対してください。

【第1章 1 国民健康保険運営方針の趣旨】について
○ 「被保険者の公平性を確保する観点 」を記述していますが、医療保険制度の「公平性」については県民の中で十分な理解がされているとは言えません。例えば負担と給付の「公平性」を理由に、「負担=保険料納入」が不十分なら「給付=医療」を制限することを当然とすることがあってはなりません。
 国保制度が公的扶助と相互扶助とを基盤にしている以上、この記載は誤解されかねず削除すべきです。

【第2章 (2)エ 医療費指数】について
○ 各市町の一人当たり医療費(給付費ベース・過去3か年)について図示されていますが、被保険者の医療の必要性(疾患状況)と市町(特定地域)とは本来関係がありません。こうした非科学的な指数は保険制度の運営に有害であり、削除されるべきです。

【第2章 3赤字解消・削減の取組み】
○「決算補填等を目的とする一般会計からの繰入れを行っている市町においては、県の定める取組方針を踏まえ、赤字繰入れを解消・削減 する計画を策定することとする」とありますが、「払える保険料」とするため、一般会計からの繰入は市町の裁量であることを保障し、ペナルティを科すような制度には中止してください。

【第3章 2保険料水準について】
○「、医療費適正化の取組、保険料算定方式(以下「賦課方式」という。)の 統一の取組、収納率向上の取組、赤字繰入れの解消・削減の取組などを段階的に行い、 保険料水準の統一(標準保険料率の一本化)を目指す」とありますが、賦課方式の統一は、保険料の引上げに繋がりかねません。中止してください。
 
【第4章 2収納対策の取組みについて】
○「収納率目標を定め」その取組みとして市町は「、口座振替の促進、コンビニ収納や休日、夜間の納付相談、短期被保険者証・ 被保険者資格証明書の活用、資力のある滞納者への滞納処分の実施など収納率の向上 に資する取組」を行うとしていますが、保険料収納率向上の観点から目標を設定することは、厳しい取り立てや職員に対し過重なノルマが課せられることに繋がりかねません。各市町の裁量にしてください。
○また、短期被保険者証・ 被保険者資格証明書の活用とありますが、資格証明書では窓口で10割を請求されます。受診抑制による手遅れ事例などが問題になっています。発行はやめてください。また生活維持を困難にする恐れがある財産の差押えはやめてください。

【第5章 2レセプト点検充実強化について】
○「、「標準点検項目リスト」 を作成し、点検の充実強化を支援する」とありますが、必要な医療が受けられなくなるようなレセプト点検充実強化は中止してください。また「標準点検項目リスト」は公開してください。

【第7章 1被保険者証及び高齢受給者証の一体化】について
○ 取組みにおいて「県は、被保険者や保険医療機関等の利便性の向上のため、被保険者証及び高齢受給者証の一体化に向けて、国が推進するマイナンバーを活用したオンライン資格確認の仕組みと整合する取組の方向性を示す。」とありますが、医療機関の側から見れば、マイナンバーの秘匿(情報管理)は利便性には関係なく、その個人情報管理は全くの負担でしかありません。医療保険制度とマイナンバーの紐付けは日本医師会・日本歯科医師会をはじめ病院団体でも了承している段階でもなく、削除すべきです。

【第7章 3保険料の減免・4一部負担金の減免について】
○「保険料の減免」については、「、市町の事情に配慮しつつ、基本的な考え方を整理して市町に提示する」としていますが、急激な収入減など特別な理由を認めてください。
○一部負担金の減免の標準について「県標準を改定し市町に通知する」としていますが、減免基準を生活保護基準の1.3倍としてください。また入院外も対象としてください

【第9章 関係市町相互間の連絡調整等】
○ 第9章では「運営方針に基づく施策実施に必要な事項を定める。」とありますが、運営方針の中には県民(被保険者)への「情報公開」の記載がありません。県、市町の連携だけでなく、被保険者への運営の公開は適切な国保運営にとって不可欠であり、項目として起案記載すべきです。

静岡県保険医協会
理事長 聞間 元