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【2022.6月号】浜岡原発の再稼働には未解決の問題あり 省電力と再生可能エネルギーの推進がリスク回避の鍵

 浜岡原発の稼働停止から満11年を迎えた。この間に幸いにも南海トラフ地震の発生がなく、また需要集中期の電力危機も生じることなく経過したが、中部電力が申請中の再稼働の再審査の現状を確認しておきたい。
 5月14日の報道にもある通り、中電は原子力規制委員会の次回の審査会合に提出する津波高の想定を最大22.7メートルに引き上げる再々修正を行うと発表した。再々修正としたのは、当初中電は想定最大津波高20.3メートルと想定し、東日本大震災後の2012年に建設していた海抜18メートルの防潮堤を4メートルかさ上げした工事を行っている。その後21.1メートルに修正し、昨年12月の審査会合には22.5メートルに再修正していた経緯がある。それが審査会合で追加の解析を求められ、想定される津波高を最大22.7メートルに引き上げる再々修正を行った。
 現在の防潮堤が22メートル高ということなので、最大想定の津波高では原発敷地内に流れ込む海水を完全に防ぐことができないことになるが、原子炉建屋への流入は水密扉で防げるということだが、それで果たして安全なのだろうか。
 本年3月の審査会合では3号機は50回目、4号機は115回目の審査を数えるが、今も敷地下周辺の断層群の地質・地層の評価をめぐって審査が続いており、また最近重視されているセキュリティ(安全基準)の問題はこれからという段階であり、審査の終了の見通しは立っていないのが現状である。
 さらに私たち医療関係者が関心を持っている大規模災害時の住民避難対策も具体的な検討がどこまで進んでいるのか不安が残されたままである。
 加えて、運転停止中の今も忘れてならない問題がある。それは使用済み核燃料の保管問題である。基本的には燃料プールに保管されているが、冷却が一定すすんだ燃料棒を試験的に乾式貯蔵方式に移行しているという。陸上での乾式保管は空冷で電力を要しないので停電でも安全ではあるが、問題は電力を要する燃料プールでの保管も含めて、南海トラフ地震に耐えうる保管場所なのかどうかということである。
 専門家は浜岡の場合、敷地内保管には大地震というリスクがあるという。ならば県内の他の安全な場所への移動も検討しなければ県民の安全を担保していることにはならない。青森県六ケ所村やむつ市の貯蔵施設への移転も今は不可能であるし、核のゴミを他県に押し付けることは避けるべきである。
 問題の解決は、中電が再稼働をあきらめ、使用済み核燃料の安全な保管問題で自治体や県民の意見を聞き、一方で省電力社会を作り、再生可能エネルギーの普及を図ること以外にないということである。