【2026.5月号】無料低額診療事業の充実を
無料低額診療とは
無料低額診療事業とは、「生計困難者のために、無料又は低額な料金で診療を行う事業」で社会福祉法第2条第3項に規定された第2種社会福祉事業に該当します。事業者が基準を設けて生活困難者(低所得者、生活保護受給者、病気やケガで働けない医療費支払困難者、DV被害者、ホームレス、住民税非課税世帯、ひとり親家庭等)に対して、生活が改善するための一時的な措置として診療費(一部負担金)を無料又は費用の一部(10%以上)減免措置を行う事業です。
静岡県内の実施状況
県所管事業所 5ヶ所(3病院、1診療所等)
※参考 静岡市所管事業所2ヶ所(1病院、1診療所)
浜松市所管事業所4ヶ所(4診療所)
無料低額診療事業の基準(診療所の場合)
①生計困難者を対象とする診療費の減免方法を定めて明示する
②生活保護法による保護を受けている者及び、無料又は10%以上の診療費減免を受けた者の延べ数が10%以上である
③医療ソーシャルワーカーを置き、そのために必要な施設を備える(有資格者としてのMSWがいなくても担当者がいればよいとされる)
④生活保護の保護者とその他の生計困難者を対象とした無料の健康相談を行うこと
以上の①から④に加えて下記の⑤若しくは⑥のいずれに該当すること
⑤特別養護老人ホーム等の施設を併設しているか、併設していない場合には他の同等施設と密接な連携を保持していること
⑥夜間又は休日等の診療時間外においても時間外診療体制がとられていること
実施方法
無料診療券又は低額診療券を発行する、これらの診療券は地域の社会福祉協議会等において保管し必要に応じて交付する。診療施設はこれらの提出を受けて診療費の減免を行う。減免額は関係機関との協議で決定する。診療施設においてこれらによらない患者からの申し出があった場合は医療ソーシャルワーカーが介在し社会福祉協議会等に連絡し診療を受けるように指導する。よって社会福祉協議会や民生委員等との関係・協力体制が必要です。
メリット
①税制上の優遇
第2種社会福祉事業として事業に用いる資産の固定資産税や不動産取得税が非課税となる(ただし医療法人でのハードルは高い)
②地域貢献と信頼
地域住民からの信頼や地域でのプレゼンスが高まる
広がらない理由
無料低額診療事業は残念ながらごく一部の医療法人を中心にその展開は非常に限られています。つまり、その恩恵を受けられる患者も限られています。
事業が広がらない大きな理由は無料分や減免分の診療費はその医療機関の持ち出しという「献身的な行為」に委ねられていることです。持ち出し分がその医療機関の経営を圧迫するのです。
本来であれば持ち出し分は行政が補填すべきであり、献身的な医療機関に負担させるべきではありません。生活保護受給等、生活の改善までの一時的な措置ですが、この制度が充実したものになり参加医療機関が増えるためにも、また制度対象外の、処方箋に基づく調剤薬局での負担金も制度の対象に加える等の制度の改善が求められます。