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【2016.6月号】消費税はすべて社会保障財源にすべきである~参院選を前にすべての政党に訴える

 参院選の投票日が7月10日に決まった。この参院選は、18歳以上の若い人々が初めて投票する国政選挙として大いに注目される。投票率は期待通り上がるだろうか。
 しかし投票までわずか一か月というのに、争点がはっきりしない。昨年、あれだけ関心を集めた安全保障関連法制についても、最大の争点になるのかどうか疑わしい状況である。
 そこで、ぜひ焦点にしてほしいのが消費税問題である。これには来年4月から予定通り10%に引き上げるのかどうか、ということよりももっと重要な問題があるのだ。それは消費税の使い道だ。
 安倍首相は、税率を5%から8%に引き上げる前の2013年10月の国会で、「3%の引き上げ分の消費税収は、全額社会保障財源化する」と答弁したが、本当にそうなっているのだろうか。
 財務省の資料でみると、3%の増税で8.2兆円が政府の懐に入るようだが、平成16年度予算で実際に社会保障の充実に充てられたのがそのうちのわずか16%、1.35兆円だけである。あとの84%の使い道はどうなっているかといえば、税率引き上げに伴う事務経費に0.37兆円、基礎年金の国庫負担割合の半分に3.1兆円、国債返済に3.4兆円となっており、基礎年金の負担分とか国債の返済などはこれまで他の財源から支出されてきたものであり、財源の置き換えに使われたにすぎないのである。
 これは明らかに安倍首相の公約違反ではないか。もちろん野党に追及はされていたが、旧民主党事態が増税を容認していたいきさつからか、あいまいになっている。
 今、国民生活は経済的な苦境に立たされているといってよい。総務省の「家計調査」でも実収入が伸び悩み、かつ所得税や住民税などの直接税、各種社会保険料の負担増で、可処分所得は30年前の水準以下になっているという。これは一般的な世帯の話しで、非正規雇用者や年金生活者の世帯収入は圧倒的に200万円以下になっているのである。
 一方で、タックスヘイブンで税金逃れをしている富裕層があり、大企業の利益や内部留保も増大する一方である。まさにアベノミクスによるトリクルダウンどころか生活の格差は広がるばかりである。
 若人を抱える家庭の負担となっている大学の高学費の問題はもちろん給付型奨学金も見通しなく、大学そのものへの運営交付金や補助金も抑えられている。科学技術立国の名に恥じる国の政策が進んでいるのだ。
 こうした国の政策を変えるのは選挙の結果という民意なのである。若人が初めて投票に参加する国政選挙の結果が、わが国の将来を左右することになるであろう。
 あらためて、すべての政党に訴えたい。今の8%の消費税のすべてを社会保障と、国の未来のための子育て支援や教育費に使っていただきたい。それをはっきり公約として掲げ、参院選の争点にしてもらいたい。