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【2026.3月号】外来医師過多区域重点医師偏在対策は自由開業医制に反さないか?

はじめに
 2025年12月12日に開催された「地域医療構想及び医療計画等に関する検討会」で医師偏在対策として「外来医師過多区域」での事実上の「新規開業規制」とも受けとめられる対策が承認された。2026年4月からの改正医療法に基づき新規開業医に夜間救急対応や在宅医療などの不足機能の提供が要請される。

「外来医師過多区域」とは
 外来医師偏在指数に基づき、人口あたりの医師数や診療所数などが全国平均を大きく上回りかつ可住地面積あたりの診療所数も上位にある二次医療圏(またはその中の市町村)を言う

指定
 厚労省が候補を提示し、各都道府県が最終的に指定する。現在の候補としては東京都の千代田区や新宿区など17区、大阪市、京都市、神戸市、福岡市などが挙げられている。

対象
 「外来医師過多区域」での入院設備の無い医科診療所の新規開業

要請内容
 新規開業医には医師不足地域の支援(休日診療など)、夜間・休日救急初期対応、在宅医療、予防接種など地域で不足する医療機能の提供が求められる。

ペナルティー
 要請に応じない場合、保険医療機関の指定期間が6年から3年(またはそれ以下)に短縮される。診療報酬に対しても2026年改定でペナルティーが盛り込まれ、初診料の機能強化加算の他、再診料の地域包括診療加算の算定に対する制限や、在宅療養支援診療所の届出ができなくなるなどが予定される。今回は今後の新規開業の医療機関のみ対象となるが、外来の医師偏在対策の端緒が診療報酬に持ち込まれたことは大きな問題だ。

目的
 医師の偏在是正、都市部への集中を防ぎ地域で不足する医療を充実させる。

新規開業希望者への「協議の場」
 新規開業希望者を対象とする年4回が想定されている「協議の場」では、不足する医療を提供しない理由や当該診療所で提供予定の医療内容についての説明が求められる。厚労省は提供できない場合の「やむを得ない理由」については個別の状況を踏まえて個別に判断するとしている。

問題点
 医師の偏在対策や都市部への集中の是正は必要である。しかし「外来医師過多区域」と言っても指定候補の例から都市部であり交通の便も良いであろうから遠方からの患者(人口以外の)も多いのでなかろうか、また、多くの医療機関が診療している平日日中はその地区に通勤している勤労者も多いであろう(昼間人口)住民登録が基準となる「人口(夜間人口)」が基準とされることも問題であろう。また「協議の場」に参加が予定されるであろう「医療団体関係者」からは「同業者」となり得る新規開業希望者に対して恣意的な判断がなされる可能性はなかろうか。わが国の自由開業医制を揺るがすペナルティーを伴ったこの制度は憲法第22条で保障された職業選択の自由にも抵触する可能性も秘めているのではなかろうか。医師の偏在対策はこれから医師になろうとしている者も含めて広く議論していく必要性を強く感じる。
 医師が不足しているとされる地方の山間部等では生活インフラの整備が不十分で生活は便利ではないかも知れないが、都市部にはない自然があり別の魅力があるのではないか。患者数が少なく医院経営は困難かもしれないが地元自治体の開業支援も多いと聞いている。新規開業医が医師の少ない地域で積極的に開業する魅力ある施策こそが求められ